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文部科学省認証評価委託調査事業報告について

AOPAS委託事業完了報告書

 平成20年8月25日付 20文科高第415号で委託を受けた「大学評価研究委託事業」について、下記のとおり御報告します。

1.事業委託期間    平成20年8月25日~平成21年3月31日

2.調査研究テーマ  会計大学院の評価の質を国際アコードにより担保する仕組みに関する調査・研究

3.調査研究の概要

(1) 調査研究の趣旨

   本事業は、会計大学院の評価の質を国際水準で担保する仕組みを構築することを目的として、高等教育機関における会計教育の認証評価に関する先進国の事例を調査し、東南アジアの主要国と連携を図りながら、会計認証評価アコードを構築し、それを活用する仕組みを策定する。委託期間中に下記の事業を実施した。

(a)会計認証評価アコード推進検討委員会を組織
 (b)会計教育に関する東南アジアの諸国の調査
(c)国際会議に出席し会計教育に関する情報収集
(d)国際会議において会計認証評価アコードを提案
(e)会計認証評価研究国際シンポジウムを東京にて開催
(f)会計認証評価アコード推進調査研究報告書の作成
(2) 調査研究の内容及び実施方法

 ①会計大学院評価の質調査委員会組織
  月に1度調査委員会を開催した。
 ②国外調査の実施
  1)ヨーロッパ訪問調査の実施
  2)AAAA調査の実施
  3)台湾訪問調査の実施
  4)中国訪問調査の実施
  5)韓国訪問調査の実施
 ③認証評価に関する国際シンポジウムの実施
 ④会計大学院の認証評価に関する国際会議の開催
  3rd Accounting Accreditation Accord Initiative, Tokyo Round を開催。

 (3) 実施日程(実施結果)

実施日 名    称 概要
10月5日 第1回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者10名
11月8日~11日 欧州訪問調査パリ・アイルランド訪問調査アジア太平洋国際会計学会参加アイルランド勅許会計士協会訪問 出席者2名
11月25日~12月2日 AAAA調査 出席者1名
11月28日~30日 台湾訪問調査台湾大学訪問 出席者2名
11月29日 第2回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者5名
12月19日~21日 韓国訪問調査延世大学訪問 出席者2名
12月25日~27日 中国訪問調査中国会計士協会・北京大学・清華大学訪問 出席者2名
12月14日 第3回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者9名
1月24日 第4回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者11名
2月21日 第5回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者12名
3月15日 認証評価に関する国際シンポジウム開催於:青山学院大学 出席者17名
3月22日 会計大学院の認証評価に関する国際会議開催於:大連(中国) 出席者6名

(4)調査研究の成果・分析(別添参照)

(5)今後の課題

日・中・韓が中心となる、国際アコード会議の継続を推進したい。
 平成20年8月25日付 20文科高第415号で委託を受けた「大学評価研究委託事業」について、下記のとおり御報告します。

1.事業委託期間    平成20年8月25日~平成21年3月31日

2.調査研究テーマ  会計大学院の評価の質を国際アコードにより担保する仕組みに関する調査・研究

3.調査研究の概要

(1) 調査研究の趣旨
   本事業は、会計大学院の評価の質を国際水準で担保する仕組みを構築することを目的として、高等教育機関における会計教育の認証評価に関する先進国の事例を調査し、東南アジアの主要国と連携を図りながら、会計認証評価アコードを構築し、それを活用する仕組みを策定する。委託期間中に下記の事業を実施した。
(a)会計認証評価アコード推進検討委員会を組織
 (b)会計教育に関する東南アジアの諸国の調査
(c)国際会議に出席し会計教育に関する情報収集
(d)国際会議において会計認証評価アコードを提案
(e)会計認証評価研究国際シンポジウムを東京にて開催
(f)会計認証評価アコード推進調査研究報告書の作成

(2) 調査研究の内容及び実施方法
 ①会計大学院評価の質調査委員会組織
  月に1度調査委員会を開催した。
 ②国外調査の実施
  1)ヨーロッパ訪問調査の実施
  2)AAAA調査の実施
  3)台湾訪問調査の実施
  4)中国訪問調査の実施
  5)韓国訪問調査の実施
 ③認証評価に関する国際シンポジウムの実施
 ④会計大学院の認証評価に関する国際会議の開催
  3rd Accounting Accreditation Accord Initiative, Tokyo Round を開催。

 (3) 実施日程(実施結果)
実施日 名    称 概要
10月5日 第1回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者10名
11月8日~11日 欧州訪問調査パリ・アイルランド訪問調査アジア太平洋国際会計学会参加アイルランド勅許会計士協会訪問 出席者2名
11月25日~12月2日 AAAA調査 出席者1名
11月28日~30日 台湾訪問調査台湾大学訪問 出席者2名
11月29日 第2回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者5名
12月19日~21日 韓国訪問調査延世大学訪問 出席者2名
12月25日~27日 中国訪問調査中国会計士協会・北京大学・清華大学訪問 出席者2名
12月14日 第3回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者9名
1月24日 第4回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者11名
2月21日 第5回 会計大学院の質調査委員会開催 出席者12名
3月15日 認証評価に関する国際シンポジウム開催於:青山学院大学 出席者17名
3月22日 会計大学院の認証評価に関する国際会議開催於:大連(中国) 出席者6名

(4)調査研究の成果・分析(別添参照)

(5)今後の課題
日・中・韓が中心となる、国際アコード会議の継続を推進したい。

第4回アコード会議(中国・大連)

1.Accounting Accreditation Accord Initiativeの意義   藤田幸男

 経済および会計のグローバル化が急速に進む状況に合わせて、会計基準および監査基準の国際的調和化へ向けての努力は長い間重ねられてきたが、会計基準や監査基準を現実に国際的な舞台で活用する職業会計士の教育・養成についての国際的調和化は必ずしも十分に進められていない。職業会計士の資格試験は各国に任されており、その前提となる会計教育について求められているものも一様ではない。このような状況の中で、国際会計士連盟は2003年から国際会計教育基準審議会を中心に会計教育基準の設定を進めている。
 会計基準や監査基準の場合もそうであるが、とりわけ会計教育基準についての国際化を進めるにあたっては、画一的な基準をすべての国に押しつけることは必ずしも望ましいことではない。人間の教育はそれぞれの国の歴史や文化を基礎に行われるものであり、まず多様性を認め、それぞれの国の歴史や文化をお互いに尊重し、そのうえで調和化をはからなければならない。われわれはこのような基本的認識にたち、2007年から中国、韓国の会計教育に重大な影響力を持つ教員に呼びかけ、日中韓の間で会計教育基準および会計教育の評価基準について共通の枠組みあるいはモデルを構築し、お互いに会計教育の質の向上に努めることとなった。
このような趣旨でAccounting Accreditation Accord Initiative の活動を2007年京都で開始した。2008年には東京で第2回の円卓会議を開催し、2009年には大連の東北財経大学で第3回の円卓会議を開催した。

2.第3回円卓会議について

 2009年3月23日に大連の東北財経大学において、第3回の円卓会議が開催された。この会議には、中国から曲教授他5名、韓国からYoon教授、そして日本からは高田教授他9名が参加した。東北財経大学は1952年に創立された、会計学の分野では厦門大学、上海財経大学と並ぶ重点大学のひとつであり、1996年には中国ではじめての会計学院を設置している。また中日韓会計研究所を開設しており中日韓の比較研究も行なっている。また、付属の東北財経大学出版社は『商業道徳と会計職業倫理』をはじめ多くの会計学の教材を出版している。

(1)高田教授のスピーチ

 1)Accreditation Accordの必要性について
 日本では2005年に会計専門職大学院が開設されたが、同時に会計大学院協会が設立され、会員校の自主的努力により教育の質の向上をはじめ社会の期待に応え、その社会的責任を果すための努力が開始された。その取組みの中心となるものは、第三者評価機構設置検討委員会による「会計大学院評価基準」の設定であった。この評価基準は2007年に文部科学大臣より評価機構として認証を受けた会計大学院評価機構に引き継がれ、2008年度の会計大学院の評価にあたりはじめて活用された。
 このような評価基準は会計教育の国際化が進む状況のなかで、単に日本の基準としてだけではなく、少くとも日中韓、さらにはアジア諸国においても会計教育の質を高めるために必要であり、今回の会議において配布した評価基準のテキスト(英語版)について、原則的に、合意を得たいと願っている。

 2)国際会計教育基準について
 2009年2月にアルゼンチンのブレーノスアイレスで国際会計士連盟の国際会計教育基準審議会が開催されたが、その折に配布されたExposure Draft “Explanatory Memorandum on IAESB Drafting Convention” のコピーを基に、現行の国際会計教育基準が2011年までに改訂されることが説明された。
 今回、オブザーバーとして参加したが、IAESBに日本を含めアジアの国が参加していない現状は早急に改善され、アジアの国々の意見が国際会計教育基準の作成の過程に反映されるようにしなければならない。

(2)曲教授および陳教授のスピーチ
 厦門大学の曲教授および南京大学の陳教授から中国における会計教育の発展と現状について説明があり、会計教育の質の向上のために中日韓を中心とする東アジアの国々の組織的連携が必要である、との認識が示された。曲教授からは、現在会計基準の国際的統一化が進められているが、減損会計その他いくつかのテーマについて国際会計基準が必ずしも中国の実情に合わないという問題があり、会計教育基準についてもそれぞれの国の歴史や文化が反映される必要がある、との指摘があった。

(3)藤田教授のスピーチ
 両教授の発言を受けて、藤田教授から会計教育の国際的調和化について次のような見解が示された。
 すでに国際会計基準委員会(審議会)や国際会計士連盟の努力により会計基準および監査基準の国際的調和化はかなりの程度進められており、また国際会計士連盟の国際会計教育基準審議会は2003年より国際会計教育基準を公表しており、現在その改訂作業を進めている。そこで会計教育に直接たずさわる者として次のようないくつかの問題を指摘しておかなければならない。
 ①経済および会計のグローバル化が急速に進んでいることは認めるが、各国の教育はそれぞれの国の歴史や文化を基礎とするものであり、またそれは多かれ少かれ教育に反映される。この意味で教育基準の設定にあたっては多様性を認めなければならない。国際会計教育の目的は国際理解を通じて世界の平和、すなわちすべての国の人びとが平和に、安全に、安心して生きていける世界の実現に貢献できる職業会計人の育成であり、具体的には国際的な会計基準および監査基準の使い手の育成であるが、ひとつの教育基準をすべての国に機械的に押しつけるのではなく、お互いに多様性を認めたうえで、調和を尊重する心を育てなければならない。
 ②職業会計人を育成するプロセスは、①資格取得前教育、②資格認定試験、および③資格取得後教育から構成されるが、この三者はバラバラではなく一本の線としてつながっていなければならない。
 資格取得前教育は大学および大学院が主として責任を持っており、資格認定試験は国が直接関与しているケースと民間の会計職業団体が関与しているケースがある。資格取得後教育は民間の会計職業団体が関与しているケースが多い。国際会計士連盟の会計教育基準は連盟に加盟している団体、たとえば日本公認会計士協会、の会員に対しては拘束力を持つが、資格取得前教育にかかわっている大学の教員に対してはどのような拘束力を持つのであろうか。資格取得前教育、すなわち大学および大学院における会計教育の基準は、本来、大学の教員の団体たとえば会計大学院協会によって設定されるべきものであろう。
 大学の教員およびその団体と行政(日本では金融庁および文部科学省)と会計職業団体(日本では日本公認会計士協会)はグローバル化が進む状況のなかでの職業会計人の教育について、その全体的な枠組みとそれぞれが果すべき責任と役割について早急に話し合う必要がある。

3.会議を通じて学んだこと
 第1回および第2回の円卓会議の出席者であった韓国の朱教授が所用で出席できなかったことは残念であるが、17名が出席した第3回の円卓会議は盛会裡に終了した。参加者相互の友好を深めたことはもちろん、グローバル化が進む中で、国際的に活躍できる職業会計人の教育はそれぞれの国の会計学の教員、会計職業団体および行政が国の枠を超えて協力して努力しなければならない、という共通の認識そして大学の教員のみならず職業会計人の教育にたずさわる者一人ひとりが教育こそ世界の将来の運命を決めるという自覚を持ちえたことは大きな収穫であった。
 来年は韓国で第4回の円卓会議を開催することが合意された。

外国調査

1.第20回Asian Pacific Conference on International Accounting Issues パリ大会

期 日:平成20年11月8日(土)からから11日(火)まで
目 的:国際会計基準の教育方法についての情報収集
概 要
同学会は、会計に関する教育・研究に関するアジア・太平洋地域の研究者、実務家、当局者が参加するものである。今回は、特に国際会計基準(International Financial Reporting Standars)を高等教育機関、会計士団体でどのように教育していくかが、セッションの柱の一つとされており、本補助金「会計大学院のコアカリキュラム」で課題としていた「国際会計基準」の教育コンテンツを検討する上で必要な情報収集をすることを目的として参加したものである。セッション「国際会計基準をどのように教育するのか」では、国際会計基準審議会で同基準の設定に関与した委員、米国の財務会計基準審議会の委員、米国と英国(UK)の大学教員がパネリストとしてプレゼンテーションを行うとともに、教育の目的、アプローチ、コンテンツ、資料の出所先等に関して、情報提供がなされた。4人のプレゼンテーションの後に、活発な質疑が行われ、われわれの一行の中からも、質問が出された。
 入手した資料に関しては、資料として翻訳・保存する価値があるものもあると考えられるので、11月末に予定している本補助金の委員会で審議し、ファイリングの準備にかかることとしたい。

2.アイルランド勅許会計士協会の訪問調査

期 日:平成20年11月12日(水)から13日(木)まで
目 的:同協会における教育システムの概要と国際会計基準、会計職業倫理、インターンシップのあり方についての情報収集
概 要:同協会は、世界に数ある会計職業団体の中で、教育システムについてテンプレート(お手本)となる体系を有しているとみなされている。また、国際会計士連盟の国際会計教育審議会の現会長である Henry Saville 氏は、同協会の元会長であり、今回の訪問は、かねて同氏とコネクションを有していたわたし高田が企画し、同氏に依頼して実現したものである。同協会では、教育部長の Ronan O'Laughlin 氏以下、担当の方々4名が懇切丁寧に説明をしてくださり、われわれの多くの質問にも丁寧に回答してくださるとともに、貴重な情報提供をしていただいた。
 今回の訪問で改めて理解できたことは、会計職業資格を授与する権限を有しているのは、協会であり、勅許会計士の資格は、3年から5年にわたる会計事務所での職業実践と同協会が提供する教育コース受講を受験資格としたCAP1、CAP2、そして最終考査の3段階の試験に合格することが必要である。わが国のように教育と資格試験が乖離してしまっているいびつなし組とは、まったく異なる理想的な教育体系に基づいた教育が行われている。
 国際会計基準の教育については、目下、新しいテキストに基づいた教育が実施されているが、国内GAAPも残存しており、この教育も並行して実施されている。会計職業倫理の重要性は認識しているが、それを協会の中で授業として教えていることはないし、テキストもない。教会の授業の受講者(学生)は、会計事務所に雇用されているので、実務を覚える過程で事務所内のメンターが行動規範を教育している。したがって、インターンシップは、3年から5年の協会の教育期間において実施されていることも考えられる。
 同協会からも貴重な情報を収集できた。これについても、委員会で審議し、ファイリングの準備にかかることとしたい。

ヨーロッパ調査報告書


1.2008年11月9日から11日にフランスのパリで開催された第20回アジア太平洋国際会計学会(TWENTIETH ASIAN-PACIFIC ON INTERNATIONAL ACCOUNTING ISSUES)に参加した。

11月9日
特別セッション「国際会計教育」に参加して、下記の4人の報告者から、国際会計基準(IFRS)の教授方法について学習した。
James Leisenring, Member, International Accounting Standards Board
Paul Pacter, Director, International Accounting Standards Board
Katherine Schipper, Professor, Duke University
Michael Wells, Senior Manager, Education Projects, IASC Foundation

11月10日
IFRSセッションに参加して、カナダ、ポルトガル、フランスにおける国際会計基準(IFRS)に関する研究報告を聞いた。

11月11日
IFRSの諸問題セッションおよび国際会計教育セッションに参加し、イラクにおけるIFRSの導入状況、国際会計教育の問題点などについての研究報告を聞いた。

2.2008年11月12日にアイルランド勅許会計士協会(ICAI)を訪問し、4人の関係者(Joseph Carroll, Ronan O'Loughlin, Joanne Powell, John McCallig)から、ICAIの会計士教育システム等について学習した。

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